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静帝(彼は天然な人?)


予測不能な動きに翻弄される帝人とか。
…書きたかったものと違うのが出来上がったけど、これはこれでw



 





僕が友人から始めに教わったのは『近寄っちゃいけない人』。
ましてや始めて見た時には人を投げていたので怖い印象でしかなかった。
でも、実際に話してみるとその印象ががらりと変わった。
そして今日も、僕はこの街で、あの人を見かけると思わず駆け寄っていた。
「静雄さん、こんにちは」
「おぅ。今帰りか?」
目の前に立って挨拶をすれば、普通に返してくれる。
何気ないやりとり、それが僕には嬉しかった。
自然に零れてしまう笑み、それを見た静雄さんはいつものように頭を優しく撫でてくれた。
それがまた嬉しくて、思わず笑みが声に出てしまう。
「えへへ」
「…何だ、嬉しそうだな」
静雄さんは頭から手を退かすと、今度は僕をじっと見つめてくる。
いつもとは違うその視線に、トクン、と鼓動が弾ける。
すると退かされたはずの手が自分に向かって伸びてきたので、思わずきつく目を閉じてしまった。
しかし、感じたのは静雄さんの手の温度。
僕は驚いて静雄さんを見ると、片方の手が僕の頬から額へと移動した。
「…?」
「あー、やっぱ少し熱があるみてぇだな。お前、早く帰って寝とけ」
「え、熱?」
離れた手が銜えていた煙草を指に挟むと、煙を吐き出して頷く。
そして視線を外すことなく、言葉が続いた。
「なーんか赤い顔してんな、って思ったんだがやっぱりだ。大事になる前に薬飲んでさっさと寝ておけ」
「熱、ないですよ?」
僕は首を傾げ、自分の額に手を当てて確認するけど、自分では全くわからない。
すると、いきなり静雄さんの顔が目の前に迫った。
驚いて僕の身体が完全に固まる。
こつん、と軽く骨がぶつかる音がすると、静雄さんの顔が離れた。
「な…な…」
「やっぱ熱あんよ。顔、真っ赤だぞ」
「そ、それは……っ!」
プルプルと震える僕の身体を見て、静雄さんは心配そうな表情を浮かべてる。
しかし静雄さんは更に予期せぬ言葉を紡いだ。
「家まで送ってやろうか?」
その申し出に、僕は大げさすぎるくらい首と手を横に振る。
でも、と言葉を続けようとした刹那、少し離れたところでスーツの人が静雄さんを呼んだ。
僕は静雄さんを見ると笑顔を向けた。
「ほっ、ほら、呼んでますよ? それに静雄さん仕事中じゃないですか、僕は大丈夫だから行ってください」
「そうか…? でも辛かったら頼っていいんだからな?」
「ありがとうございます」
にっこりと笑って静雄さんに手を振れば、まだ少し心配そうにこちらを振り向く静雄さんの姿。
それを見送って、静雄さんの姿が見えなくなってすぐだった。
膝の力が突然抜けて、僕はその場に座り込んでしまった。
こんな街中であるわけない、常識で考えればわかることなのに。

―― キス、されるのかと思った。
―― あぁ本当に熱が上がりそうだ。

人の邪魔になるのも考えず、僕はそのまま頭を抱えて蹲っていた。

 

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