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静帝(彼に言って欲しくて。/帝人視点)


ついったーに不意に載せたので転載。
帝人君誕生日おめでとう。






 今日が誕生日だけど特に祝ってくれる人はいないって思ってた。
 でも正臣と園原さんがおめでとうを言ってくれて僕はすごく照れくさいけど嬉しいと思った。
 でも僕の心はそれだけでは足りないらしい。
 皆と別れて一人になった時にふと見かけた、僕の憧れの人。
 彼に言ってもらえたらどんなに幸せなんだろう。
 声をかけるために近寄る勇気が持てずに遠くから見ていると、向こうから気がついてくれた。
「よぅ。最近ノミ蟲に纏わり付かれてねぇか?」
 言って僕を抱き寄せるとすん、と髪の匂いを嗅いでくる。
 僕は真っ赤になって硬直してしまった。
「あ……、ワリィ」
 ぱっと離れてしまう彼に胸を焦がされる。
「あ、あの、静雄さん!」
 勇気を出して呼べば優しい視線をくれる。
 それだけで僕の胸はいっぱいになってしまって、それ以上の言葉を紡げない。
「……変なやつだな。じゃあな」
 そういって頭を軽く撫でると行ってしまう。
 その背に向かって聞こえるはずのない小さな声で言った。
「僕、今日誕生日なんです」と。
 届くはずがないと思った時。
 振り返った静雄さんが戻ってくる。
 そして驚いている僕の手を掴むと手の平に一粒の飴玉を乗せた。
「え?」
「そういやお前、今日誕生日ってセルティから聞いたの思い出した。誕生日おめでとう。こんなもんしかなくてごめんな」

 優しく微笑む静雄さんに、僕は涙が出そうだった。

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